『方法序説』の基本情報

書籍名:方法序説
著者名:ルネ=デカルト
翻訳者名:谷川多佳子
発行:岩波書店
発行年:1997年初版発行

『方法序説』のキーワード

カテゴリ:哲学
キーワード:西洋思想、形而上学、合理論

『方法序説』のレビュー

「哲学書でおすすめの本ってある?」という質問を受けることはよくあるのだが、一冊選ぶなら間違いなく本書『方法序説』である。

本書は、哲学を含めた全ての近代的な(客観的で厳格な)学問を学び始めるための心構えが記載されている。本書を読めば、学問とは何か、いかにして学ぶべきかということが理解できるはずである。そういうわけで私は、本書を周囲の大学生に薦めている。

それに本書は比較的短くまとめられており、言葉遣いもわかりやすい。学生だけでなく、忙しい社会人の皆さんにも隙間時間に読んでもらえる一冊であると私は思っている。

『方法序説』の要旨・要約

厳密な学問を志す人は、現在正しいと思われている全てのことを一旦疑ってみる必要がある。すると、自明のように思われていたあらゆる事象が、脆弱な地盤の上に立っていることに気がつくはずである。

しかし、その中で疑いえない明証的なことが一つだけある。それは、万物を疑っているこの私自身の実在は決して疑えないということである。何かを疑うためには、疑う主体が必要になる。疑うことができているならば、その主体の実在は完全に真であると言える。

この真理からスタートして、私たちは学問上の難問に挑むべきである。その際、問題を小分割して一歩ずつ進んでいくのが良い。また、全ての問題を処理できたら、全体を見渡して欠陥がないか確認するのを忘れないようにせよ。

『方法序説』への感想

学問としてはともかく、本書の中で哲学的に重要なのは、「疑っている私の実在は疑いえない」という命題を導く第4部の記述である。

この命題は、一見この「私」の超越性を訴えているようにも見えるが、デカルトはむしろ「私」の有限性=不完全性に注目している。不完全な存在である「私」の中に完全性を持つ真理が宿っているのはなぜか、と彼は考えた。

そこで見出されたのが、無限=完全なる神の実在である。「私」が実在するためには神という他者が実在していなければならない。デカルトはこのような結論を導いた。

この主張を少し言い換えると、私が存在するとき、私は既に神という他者と関係を結んでいることになる。つまり、存在に対して倫理的な関係が先行することになる。

「1人」となるためには「2人」である必要がある−こうした思想は、時を経て20世紀ユダヤ思想に継承されることになる。デカルトは、現代の思想界にも影響を与え続けているのである。

『方法序説』と関連の深い書籍

『方法序説』と関連の深い「西洋思想」の書籍

    • カント著・波多野精一;宮本和吉;篠田英雄訳『実践理性批判』、岩波書店、1979年
    • デカルト著・野田又夫訳『方法序説・情念論』、中央公論新社、1974年

『情念論(デカルト)』要旨・要約、感想とレビュー

    • ブーバー著・植田重雄著『我と汝・対話』、岩波書店、1979年

『我と汝(ブーバー)』の要旨・要約、感想とレビュー

  • フッサール著・浜渦辰二訳『デカルト的省察』、岩波書店、2001年
  • レヴィナス著・熊野純彦訳『全体性と無限 上・下』、岩波書店、2005-2006年

『方法序説』と関連の深い「形而上学」の書籍

  • アウグスティヌス著・服部英次郎訳『神の国 1〜5』、岩波書店、1982-1991年
  • アクィナス著・稲垣良典訳『在るものと本質について』、知泉書館、2012年

『方法序説』と関連の深い「合理論」の書籍

  • カント著・中山元訳『純粋理性批判 1〜7』、光文社、2010-2017年
  • デカルト著・山田弘明訳『省察』、筑摩書房、2006年
  • デカルト著・山田弘明;吉田健太郎;久保田進一;岩佐宣明訳『哲学原理』、筑摩書房、2009年

8件のコメント

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