デカルトの哲学書でどれがおすすめ?初心者向けの4冊を選びました!

デカルトの哲学書でどれがおすすめ?初心者向けの4冊を選びました!

はじめに:これからデカルトを学ぶ人のために

こんにちは、ライターのらりるれろです。今回はデカルトの哲学書でおすすめしたい4冊をまとめて紹介します。

おそらく哲学をあまり知らない人でも、「我思うゆえに我あり」っていうなんかかっこいい名言はどこかで聞いたことがあるでしょう。この名言を唱えたのが、他ならぬ近代哲学の始祖・ルネ=デカルトなのです。

デカルトは哲学者として有名ですが、実は彼は数学や自然科学にも長けていて、当時の科学の最先端を走っていました。何でもできる人だったんですね。

デカルトは何でもできる人なのですが、様々な学問分野で結構たくさん書籍を残しているので、いざデカルトを学ぼうとしてもどれから読んだらいいのか迷ってしまうと思います。

そこでこの記事では、これからデカルトを学ぼうとしている人へ向けて、主に哲学分野でおすすめしたい本(哲学書)を4冊選んで紹介します!

デカルトでおすすめの哲学書

デカルトでおすすめの哲学書①:『方法序説』

まずご紹介したいのが、1637年に公刊された『方法序説』です。『方法序説』についての詳しい解説は以下の記事をご参照ください。

普通哲学書と言うと、「はじめに」から初学者には意味のわからない専門用語を連発して自分の研究成果の重要性を訴えるものが多いのですが、『方法序説』は違います。

本書の冒頭部分で、デカルトは『方法序説』を執筆するまでの経緯を自叙伝風に物語っており、哲学書というよりエッセイのようなテイストになっているのです。

その上で、1・2章で全ての学問研究者へ向けた学問の方法論を述べ、3章では人間としての道徳の規則を論じ、4章では神と人間理性の存在を語り、5・6章では自然学や医学に関する自身の見解を述べています。

見てお分かりのとおり、本書の内容は極めて多岐にわたっています。ですので、本書はデカルトの哲学書をまだ読んだことがない人がデカルトの思想を広く学ぼうとするときに役立つでしょう。

また、本書はいい意味で哲学書らしくなく、簡単な言葉遣いで書かれてあるので、デカルトに限らず哲学をイチから学びたいという人にも薦められます

『方法序説』を読めばデカルトがわかり、デカルトが作った近代思想の基盤がわかります。割と薄めの本(邦訳岩波文庫版で103ページ)なので、気軽に手を伸ばしてみてくださいね。

デカルトでおすすめの哲学書②:『省察』

お次に紹介したいのが『方法序説』の出版から4年後(1641年)に公刊された『省察』です。

『方法序説』が様々な学問分野を広く扱っていたのに対して、本書のテーマは形而上学に絞られています。

形而上学とは(いろいろな定義があるのですが)、感覚的な経験を超えた純粋な理性のみによって知られるとされる世界の根本原理を知ろうとする学問のことを指します。

もっと簡単に言うと、哲学書の中で「神」がテーマとして扱われていたら、その哲学書は形而上学に関する書籍だと言えます。哲学にとっての「神」は世界の根本原理そのものであるからです。

さて、そんな本書『省察』は全6章から成り、1章から5章までで神の存在証明が展開され、最後の6章で心身二元論が主張されています。

神の存在証明については『方法序説』でも触れられていますが、簡単に言うと、

「人間は有限な存在なのに完全なる真理を認識できる。この完全性は有限な人間からは生まれ出ない。よってその完全性は人間とは異なり「神」と呼ばれる無限なる=普遍なる他者から生じねばならない」

ということです。人間と神との対比を、有限と無限の対比として考えているところがポイントですね。

心身二元論は、人間は「心」=精神と「身」=身体という2つの実体からなるという考え方のことです。この点については、以下で紹介しているライプニッツの多元論やスピノザの一元論と比較しながら、ぜひみなさんも考えてほしいと思います。


このように、本書ではゴリゴリの哲学論議が繰り広げられているので、哲学の中でも形而上学のような純粋な思想を学びたい人はぜひ読んでみてください。ただし難易度は高めなので、『方法序説』を読んでから挑戦することをおすすめします……。

デカルトでおすすめの哲学書③:『哲学原理』

3冊目は、1644年に公刊された『哲学原理』です。

名前だけ聞くといかにも「哲学」という感じがしますが、実は本書の中で純粋に哲学が扱われているのは第1部だけで、残りの第2部から第4部まではデカルトの自然科学に関する考察が主になっています。

第1部では、既に『方法序説』や『省察』で扱われた神の存在証明や心身二元論について再度自論が展開されています。比較的わかりやすい言葉遣いで書かれてあるので、『省察』がよくわからなかったという人は、本書の第1部を読んでデカルトの哲学を理解し直すといいでしょう。

第2部以下では、デカルトの機械論的自然観に基づいた自然科学への考察が展開されています。精神と身体を完全に区別したデカルトの思想は、今から考えれば矛盾しまくっているのですが、近代以前には迷信で覆われていた宇宙が、デカルトのおかげで合理的に説明されるようになったのも事実です。デカルトは近代哲学の出発点であると同時に、近代科学の始祖でもあるのです。

というわけで、『哲学原理』は、デカルトの哲学思想を簡単に知っておきたい人、デカルトの機械論的自然観について学びたい人におすすめの書籍になっています。名前の迫力にビビることなく、ぜひ挑戦してほしいと思います!

デカルトでおすすめの哲学書④:『情念論』

最後に紹介したいのは、デカルトが亡くなる1年前(1649年)に公刊された『情念論』です。本書についての詳しい解説は以下の記事をご参照ください。

デカルトと言えば「我思うゆえに我あり」が有名なので、合理性を重視して感性を軽視していたかのように思われがちですが、実はデカルトは、感情の働きについても理性の働きと同じくらい関心を持っていたのです。

本書『情念論』は3部構成になっていて、第1部で情念(感情)一般の性質について論じられ、第2部では原始的な6つの感情の性質が、第3部では特殊な感情の性質がそれぞれ語られています。

このような「感情」についての語りの中で、デカルトはある一つの感情から他の全ての感情が生まれると指摘しています。さて、その最も原始的な感情とは何でしょう?

答えは「驚き」です。

私たちは最初何も知りませんので、現れる全ての対象を新鮮に感じて驚きます。赤ちゃんが突然大声をあげたり泣いたりするのは、赤ちゃんにとっての世界が驚きに満ちているからだというわけです。

「驚き」を感情の基盤に据えるデカルトの感情論に興味がある方、哲学における非理性の働きについて調べたい方はぜひ『情念論』を読んでみることをおすすめします。普段意識されない感情が、実は非常に豊かな可能性を秘めていることに「驚き」を感じられるはずです!

おわりに:デカルトを読めば現代社会の基礎がわかる

いかがでしたか?

この記事では、近代思想・近代科学の礎を築いたデカルトの著作で重要な作品を4冊紹介しました。

言うまでもなくデカルトは偉大な思想家ですが、デカルトの発想は今では古くなっている部分がたくさんあります。それでも、デカルトには読む価値があります

今私たちが生きている現代社会の大部分は、思想的にはまだ近代の枠組みの中に囚われているからです。資本主義、科学至上主義、国家システム。数えだしたらきりがないほど、近代に発明された(発展した)文明・文化の多くが現代まで継承されています。

ですから、近代社会の基盤を築いたデカルトの思想を読めば、現代社会の基礎的な部分についても理解できるのです。ぜひとも、「古典だから」と敬遠することなく、新鮮な気持ちでデカルトに触れてほしいと思います。

それでは!



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