『ソクラテスの弁明・クリトン』の基本情報

書籍名:ソクラテスの弁明・クリトン
著者名:プラトン
翻訳者名:久保勉
発行:岩波書店
発行年:1927年初版発行

『ソクラテスの弁明・クリトン』のキーワード

カテゴリ:哲学
キーワード:西洋思想、政治哲学、倫理学

『ソクラテスの弁明・クリトン』のレビュー

哲学に関心がない人が知っている哲学者の中で、最も時代が古いのがソクラテスなのではないだろうか。哲学の骨格となる部分は古代ギリシアに既に概ね完成したのだが、その骨格の形成に大いに寄与したのがソクラテスである。

しかし、彼の哲学のスタイルは現代の哲学者とは大きく異なっている。というのも彼は、一切の書物を残さず、ただただ市民と対話し続けたのである。ソクラテス自身は書籍の制作を好まなかったが、彼の対話の記録は、弟子の1人であるプラトンによって残され、後世に読み継がれることになった。

本書『ソクラテスの弁明・クリトン』は、その「対話篇」の中の一冊である。ソクラテスは、いかにして対話から哲学的な真理を導いたのか。本書を読んでそのプロセスを理解すれば、私たちの日々の対話も哲学的な可能性を帯びるようになるかもしれない。

『ソクラテスの弁明・クリトン』の要旨・要約

古代ギリシアの都市アテナイの市民だったソクラテスは、若者を煽動し悪事を働いた罪で裁判にかけられてしまう。

ソクラテスは元来国家・国法に対する忠誠心が異様に強い人で、市民としての義務を果たすためには生命を放棄することすら厭わなかった。しかし、神と理性に関わる至高の精神的な問題を決定する際には、彼は理性の導くところ、あるいは神の命じるところに従い、国法に対して服従を拒むことも敢えて行った。

裁判の最後まで、彼は堂々と自らの主張を貫いた。「私は国法に従い、弁明しなければならない」。その信条に従った彼は、不幸にも国法によって刑死することになる……。

『ソクラテスの弁明・クリトン』への感想

ソクラテスが刑死した根本的な原因は、神・理性が命じることと国法が命じることとの間に決定的な対立があったことである。しかし、国法とは本来、神ないし理性から作られるものではないのか?そうであるとすれば、国法と神・理性との間に矛盾は生じ得ないのではないか?

残念ながら、国法と神・理性との間には不可避に矛盾が生じる。神や理性と矛盾が生じないのは「イデア」=理想の形=完全性としての国法であって、現実社会の国法は不完全な形でしかあり得ない。現実の国法はあくまで、有限な存在である人間が作ったものなのだから。

しかし、この矛盾は私たちに進むべき方向を示してくれているとも言える。国法と神・理性との間に矛盾があるならば、その矛盾を解消させる方向にのみ頭を使えばいいのである。忌憚ない対話が実現されるならば、現在の法の矛盾を解消する道筋は自ずと明確になってくるであろう。

『ソクラテスの弁明・クリトン』と関連の深い書籍

『ソクラテスの弁明・クリトン』と関連の深い「西洋思想」の書籍

  • アリストテレス著・出隆訳『形而上学 上・下』、岩波書店、1959-1961年
  • アリストテレス著・三浦洋訳『詩学』、光文社、2019年
  • プラトン著・藤沢令夫訳『メノン』、岩波書店、1994年
  • プラトン著・中澤務訳『饗宴』、光文社、2013年
  • プラトン著・中澤務訳『プロタゴラス−あるソフィストとの対話』、光文社、2010年
  • プラトン著・藤沢令夫訳『パイドロス』、岩波書店、1967年
  • プラトン著・渡辺邦夫訳『テアイテトス』、光文社、2019年

『ソクラテスの弁明・クリトン』と関連の深い「政治哲学」の書籍

  • プラトン著・藤沢令夫訳『国家 上・下』、岩波書店、1979年
  • プラトン著・岩田靖夫訳『ゴルギアス』、岩波書店、1998年

『ソクラテスの弁明・クリトン』と関連の深い「倫理学」の書籍

  • アリストテレス著・高田三郎訳『ニコマコス倫理学 上・下』、岩波書店、1971-1973年

『ニコマコス倫理学(アリストテレス)』要旨・要約、感想とレビュー

3件のコメント

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