






というわけで今回は、インターネット上でオープンアクセスになっている文献から構造主義に関する重要な文献を選んで、それぞれの文献の概要や章ごとのまとめを紹介します!
これから構造主義についてレポートを書く人や、今すぐに構造主義についての専門的な知識がほしい人はぜひ読んでみてくださいね〜〜!
目次
- 構造主義を学ぶ人におすすめの、無料で読める哲学書・参考文献3選
- 無料のおすすめ哲学書を活用して構造主義をサクッと学ぼう!
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構造主義を学ぶ人におすすめの、無料で読める哲学書・参考文献3選
阿部宏, et al「構造主義とは何だったのか」
本論のテーマ
一般には言語学とイコールでもあった構造主義、フランスで60年代から70年代に隆盛を極めた広義の構造主義に対して、その後の言語研究・人文社会科学はどんな役割を果たしたか。その功罪は何か(pp.95-96)。
構造(主義)言語学からの出発―単語と語彙の問題を中心に―
構造言語学の最大の特徴は、音韻論から明らかになった語の音韻特徴によって、単語・語彙の種別や組み合わせの構造を分析しようとした点にある。
構造言語学では、「意味の場」と呼ばれる言語内において独立的・静的に存在する場から単語の意味が生成されるとされているが、この考え方には異論が示されている(pp.96-97)。
構造主義とは何だったのか―文学研究における構造主義―
(言語学や社会科学と違って)文学研究においては、構造主義は決して一つの学派を形成したわけではなかった(pp.97-98)。
その中でいくつか共通の傾向を示すとすれば、深層のメカニズムへの注目・自らの方法への自意識・文学に関する新たな問題設定・学際的な研究スタンスなどである(p.98)。
「体系」と「構造」―ソシュールのネガティヴィテと構造主義のポジティヴィテをめぐって―
ソシュールの構造主義においては、その基礎となる各音素が、否定的(相対的・対立的・〜ではない)にしか差異化されないものと捉えられていたが、このことはしばらく忘れられていた(p.99)。
このソシュールの否定性に気づいたのは、ポスト構造主義の時代に生きたドュルーズとデリダである(pp.99-100)。
田島節夫「構造主義の課題」
本論のテーマ
本論では、言語学・文化人類学的な運動から出発したために、これまでは哲学的に整理されてこなかった構造主義の哲学的意義を取り出す(pp.78-79)。
レヴィ=ストロースの哲学的定位
レヴィ=ストロースは、ソシュール・フロイト・マルクスから多大なる影響を受けた(p.79)。
レヴィ=ストロースは、当時隆盛していた現象学や実存主義に対して否定的だった(p.80)。
超論理主義としての構造主義
レヴィ=ストロースが『親族の基本構造』という著作の中で「基本構造」と呼んだものは、社会集団における交換のシステムであり、集団全体の交流とバランスを、婚姻を通じて保証するための構造である。
このシステムは純粋に論理的・数学的に分析することができる(p.83)。
親族体型を言語論的(音韻論的)に分析すると、神話的思考の論理性が見えてくる(pp.85-89)。
非論理的であると考えられている神話的思考こそ、純粋に論理的で数学的なのである(p.90)。
現代哲学への若干の反省
レヴィ=ストロースは現象学・実存主義に対して否定的だったが、フッサールが構想した、感覚的世界の論理的構築という理想は、そのレヴィ=ストロースの民族学によって果たされたのである(pp.91-92)。
T Hawkes, Structuralism and semiotics
この本の目的
構造主義の中心的な概念を、言語学・文学・文化人類学と関連づけながら分析する。
イントロダクション
- イタリアのユダヤ人思想家・ヴィコ。精神世界をその構造から分析しようとする彼の思想には、構造主義の萌芽が見られる(pp.1-4)。
- ピアジェによる「構造」の規定
①全体の思想
②変形の思想
③自己統制の思想(p.5) - 構造主義とは、世界を、その根底にある構造から把握しようとする運動である(p.6)。
言語学と文化人類学
- ソシュール:言語は、「ラング」と「パロール」から構成される(p9)。
- アメリカの構造主義的言語学:文化とは、言語のモデルをエンコードする行為を象徴している(p.30)。
- フランスの文化人類学者、レヴィ=ストロースについて
①親族の分析(pp.22-25)
②神話の分析(pp.25-35)
③「野蛮」の精神について(pp.35-43)
文学の構造
- ロシアの形式主義「ナイト・ムーヴ」:1920年前後から成長してきたロシアの形式主義に基づく文学批評について(pp.44-56)。
- ヨーロッパの構造主義的言語学:ソシュールの死後台頭してきた、記述主義的言語学・機能主義的言語学・言理論的言語学という構造主義言語学の三派について(pp.56-59)。
- ヤコブソン:言語の詩的な機能を分析するために、ヤコブソンは「対立概念」と「同値概念」を導入して、詩的に使われる言語の特性を明らかにした(pp.59-69)。
- グレマス:グレマスの中心的な関心は意味論にあり、彼はソシュールから受け継いだ言語的なモデルに関する物語的構造を記述しようとした。(pp.69-76)。
- トドロフ:グレマスと同じように、トドロフも個々の物語の「文法」に注目したが、彼は一歩進んであらゆる言語に共通する「普遍文法」の存在を示した(pp.76-86)。
- ロラン=バルト:はじめに客観的な世界があり、それに対応する象徴的な世界が存在するという素朴な前提を、バルトは『零度のエクリチュール』という著作によって打ち砕く。「作者の死」という概念は有名(pp.86-99)。
記号の科学(記号論と記号学)
言語学・文学・文化人類学の新たな基礎となった記号論・記号学について(pp.100-124)
古い「新批評」から新しい「新批評」へ?
- 「新批評」:旧来の文学批評が、作品の外に位置する作者や文学史に注目して展開されていたのに対して、「新批評」は、文学作品はそれ自体として独立していると考え、作品内における問題・テーマに焦点を絞って展開されている(pp.126-130)。
- 新しい「新批評」:新しい「新批評」では、批評家自体が批評対象となる作品に参与する。新しい「新批評」によれば、文学作品は作者が書いた時点で完成するのではなく、批評家を含む読者によって応答されることによって初めて意味を持った作品として完成する(pp.130-133)。
無料のおすすめ哲学書を活用して構造主義をサクッと学ぼう!
いかがでしたか?
この記事では、無料で読める構造主義関連の哲学書・参考文献を3冊紹介しました。
海外の文献だと、論文だけでなく書籍も無料で読めることが多いので、Google scholarやCiNiiといったサイトで検索してみてくださいね!
それでは!!
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