哲学とは何か。哲学はどんな理由で必要になるのか。

哲学とは何か。哲学はどんな理由で必要になるのか。

哲学ってそもそも何?

みなさんは、「哲学」という言葉を聞いたときにどんな印象を持つでしょうか。

  • 難しそう……
  • 役に立たないでしょ
  • なんか不幸になりそう
  • 就職先あるの?

一般的に、哲学はこんな感じの陰気なイメージで語られることが多いですよね。

確かに、哲学は難しいです。しかし哲学は、世の中の問題を簡単に(シンプルに)して考えるものであると私は考えています。問題を極限まで簡単にして、その問題について考えるから、哲学は難しくなるのです。

例を挙げて考えてみましょう。あなたが近所の小学生に「ねえ、あの世ってあるの?」と聞かれたとします。この問題を、哲学的に簡単にします。ちなみに以下で取り上げる解釈は一例なので、他にもいろいろ解釈の余地があることをご理解ください。

まずは要素分解です。「あの世」は、この場合人間が死後に向かう世界のことを指してします。問題になるのは「ある」という言葉です。普通に考えれば、この「ある」は実在という意味で捉えられますが、実在には証明が伴います。「ほら、あの世はここにあるよ」という証明ができなければ実在は実在たりえないわけです。

ところが、あの世は死後の人間の世界なので、生きている人間が住むこの世からはあらゆる点で切り離されています。ということは、あの世の実在は証明できません。では、あの世は「ない」のでしょうか。

これだけで「ない」と言い切るのは早とちりです。「あるといえない」ことと「ない」こととの間には本質的な差があります。そして、あの世は「ない」ことの証明もできません。仮にその証明が可能なら、あの世とこの世は認識的につながっていることになり、あの世の定義に反するからです。

さて、「ある」ことも「ない」ことも証明できないあの世について、導ける結論はひとつ、「あるとも言えるし、ないとも言える」です。要は、「わかんねぇよそんなこと」ってことですね。

この論証のキモは、元の問題を「あの世」「ある」という二つのシンプルな問題に落とし込んだことにあります。問題の本質を見極めて、よりシンプルな問題に分割して、考えるというこの一連の作業が「哲学」なのです。

哲学が必要になる3つの理由

前置きが長くなってしまいましたね。申し訳ありません。要するに哲学とは、世の中の問題をシンプルにして考えるということなのです。

では、哲学の能力はどういうところで必要になるのでしょうか。言い換えれば、哲学はどのように役立ってくれるのでしょうか。

極論、哲学は考えることが必要な全ての場面で必要になり、役に立つのですが、さすがに抽象的すぎてイメージがつきにくいですよね。そこで以下では、哲学が必要になる理由を3つ選んで、哲学の力をより具体的に紹介したいと思います。

哲学が必要になる理由①:言い換える技術が身に付く

哲学の具体的な能力の一つ目は、人の話を言い換える能力です。

あの世があるかないかの事例では、「あの世ってあるの?」という問題を「あの世」と「ある」の2つの問題に言い換えました。この言い換えの力はあらゆる場面で生かされるはずです。

例えば、話すのが好きでいつまでも話続ける人っていますよね。別の話題に移りたいけれど、話の邪魔をするのも気が引ける。そういうときに、「なるほど。あなたが言いたいのは〇〇ということなんですね!」という感じで話をまとめられれば、その人は「わかってくれている!」と嬉しくなりますし、こちらはスムーズに別の話題を切り出せます。

人の話をまとめて言い換える力は、あらゆるコミュニケーションで役に立ちます。ぜひサークルや大学、ビジネスシーンでの会話に生かしてほしいと思います。

哲学が必要になる理由②:行動に迷いがなくなる

哲学的に思考できるようになれば、複雑に見える問題をシンプルにできます。ですので、自分が問題を解決するためにすべきことが明確になります。そうなれば、自分の行動に迷いが生じることが減るはずです。

よく、哲学者は悩んでばかりで行動しない、と思っている方がいますが、そんなことはありません。哲学者は常に、自分の問題の立て方はこれでいいのか、トライアンドエラーを繰り返しています。このトライアンドエラーも、問題が細部まで簡単になっているからすぐ実行できるというわけです。

もしあなたが普段いろんなことで悩むことが多いなら、まずはその悩みを文章にしてみましょう。そして、その文章をより簡単にしてみましょう。そうすると、これまで見えてこなかった課題が鮮明に見えて、課題解決のための行動の手がかりが得られるはずです。

哲学が必要になる理由③:言葉への感性が高まる

哲学者は言葉を扱い、言葉で表現された物事の本質に迫ります。ですので、自ずと言葉への感性が高まります。

それが何の役に立つの、と思われるかもしれませんが、感性を侮ってはいけません。私たちは論理的に動いているようで、実際には相当感覚的に生きています。第一印象が良かった人と悪かった人とでは、その後の付き合いが全く変わってきますよね。

ですので、言葉に対する感性を磨いておくと、言葉の第一印象を操作できるようになります。例えば就活のエントリーシートは、大手の企業ならば何千枚も見るわけですから、当然かなり第一印象に左右されているはずです。言葉の第一印象が良いエントリーシートは、それだけで高評価になります。

言語の感性が高い人は、文章を書くときだけでなく、話をする際にも、聞き手がわかりやすいように印象を操作できます。哲学に通じていると、言葉が美しい人になれるというわけです。

この時代に、それでも哲学は必要になる

いかがでしたか?

この記事では筆者の経験をもとに、哲学とは何か、そして哲学はどんな理由で必要になるのかということについて紹介しました。もちろん、哲学の意義はこれだけではありませんし、100人哲学者がいれば100通りの哲学の意義があると思います。

ですがこれだけは確かです。哲学は、なんと言われようと役に立ちます。それに気づいている人と、気づいていない人がいるだけです。

そして哲学が役に立つことに気づけば、哲学はあなたの人生にとって必要不可欠なものになります。美しい言葉を使い、人の話をよく聞いて、悩みすぎることなく行動する。哲学の力は、私たちがよりよく生きるための最も基本的な技術と言えるのです。

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